井村俊哉氏と田中泰輔氏による為替セミナー:井村氏の問いに対する個人的回答を勝手に書く

相場ポエム
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著名個人投資家の井村俊哉氏と楽天証券経済研究所客員研究員の田中泰輔氏が2021年10月22日に開催したウェブセミナーを見た。テーマは『為替って何だ!?』『FXって何だ!?』ということで、FX取引に対して井村氏が抱く基本的な疑問に田中氏が答えるという形式だ。

田中氏の専門がグローバルマクロということや井村氏の投資スタイルの都合もあってか、内容はマクロ的な観点から長期的な為替市場の特性について説明するものだった。

金融の第一線で活躍する田中氏の見事な解説に敬意を表しつつ、井村氏が提示した幾つかの疑問に対して、素人なりに全く別の観点から2つの論点に絞って回答を提示してみたいと思う。誰にも頼まれていないけど。

FXはそもそも投資なのか

これは井村氏が最初に提示した質問で、同時に「マイナスサムゲームではないのか?」とも指摘している。長期的に市場全体の期待値がプラスと推定される株の世界に比べれば、ゼロサム(スプレッド・手数料を入れればマイナス)ゲームなので、まともな投資とは呼べないのではないか。そんなところで勝負する必要があるのか、ということだ。非常に良く分かる。

井村氏の「マイナスサムゲームなのだから、投資とは呼べない」というロジックに対して田中氏はマクロの観点から丁寧に説明していた。とはいえ、私は「機関投資家は別にして、個人のFXトレーダーが月・年単位という長期でポジション持つことは現実的なのだろうか?」と思ってしまった。

そこで(誰にも頼まれていないのに)私が勝手に答えるとすると「答1:投資(期待値がプラス)か否かは商品で判断するのではなく、投資行為で判断すべき」「答2:市場全体がマイナスサムだろうが、自分にとって勝ち目があるなら投資行為を正当化できる」となる。

これはFXに限らない。パチンコや競馬のように一般的にはギャンブルとみなされるものでも何らかの攻略法を見つけているのであれば期待値がプラスになるような賭け方が可能になる。

他方、効率的市場仮説に基づくパッシブ投資には一定の合理性があるとしても「よく分からないけど、銀行員さんがオススメしてたから」という理由で投資信託を買ってしまっては、それが投資と言えるのか疑問だ。

また株式投資でもマーケットニュートラルやアービトラージ(裁定)という投資戦略が存在するように、市場のベータ(市場全体の動き)に依存しない手法もある。あるいは、市場の崩壊を予測して大儲けしたジョン・ポールソンのような人物もいる。

このように考えれば「プラスサムゲームでなければ投資とは呼べない」と捉える必要は無いのではないか。突き放した言い方をすれば、他の99人が負けようが自分が勝つ見込みがあるならその行為は正当化出来る。要するに、何か勝ち目のある戦い方を見つけることが最も大事なのではないか。

※完全に余談だが、個人的意見として、投資・投機・ギャンブルを厳密に区分することは出来ないため「投資と投機の違い」のような議論には殆ど意味がないと思う。

そもそも予測できるものなのか?

次に「そもそも予測できるものなのか」という疑問が出てくるのは自然なことだ。番組内で田中氏はマクロ的な解説を披露していたが、全く別のアプローチで回答してみたい。

為替取引経験者なら知っている人も多いと思うが、GMOクリック証券にはトレードアイランドという実弾(リアルマネー)口座の投資成績をランキング表示しているサービスがある。楽天証券のセミナーでは使えなかっただろうが、これをみれば何らかの方法で為替市場を攻略している人がいることがわかる。収益額で並べ替えした時の上位者を調べてみると、まとまった額のプラス成績を一定期間維持している人がいることが分かる。

この記事執筆時点でランキング1位のスパシーバ氏は凄まじい取引回数でかなりの金額を稼いでいる。これを根拠にして「(あなたや私が出来るかどうかは別にして)予測することは可能」と言えるのではないか。

2021年12月15日時点でのキャプチャ画像

「せいぜい数年間は稼げても、長期的には厳しいのでは」という疑問に対しては、 プロの為替ディーラーの存在を参考にしてもいいと思う。というのも、株に比べれば個人投資家の為替取引比較的歴史が短く、取引人口も少ないからだ。

また2013年に閉鎖してしまったが、FX Conceptsという為替ヘッジファンドがあった。1981年の創業以来30年以上ビジネスを続けていたわけで、「為替で継続的に収益を上げ続けることは可能」という一つの根拠になるのではないか。

ちなみに「なぜ予測が可能なのか」という疑問もあるだろう。これに短く答えるのは難しいが、「プライスアクションに基づくパターン認識」というのは一つの回答になるかもしれない。株でもファンダメンタルズを無視するトレーダーがいるように、値動きが偏る局面を捉えることで収益機会を狙うというスタイルが存在する。

おわりに

長々と書いてきたが、個人的には井村氏にFXを勧める気は全く無い。株で成功した人が為替でも上手くいくとは限らないし、井村氏はこのまま株に注力したほうが良いような気がする。

それでは、なぜこの記事を書いたのかというと、マクロ分析に基づく長期的ポジションを取った場合、資金が長期間ロックされるため、本当にそれが個人投資家にとって最適な行動かどうか分からないからだ。プロの機関投資家が巨額の資金を運用する場合ならばともかく、少額の個人投資家の場合は別のアプローチを考えてみても良いのではないか、という気がする。

というわけで、余計なお世話だと思いつつ、井村氏の疑問に対して自分なりの答えを書いてみた。

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