FX業界への勝手な要望(2021年1月版)

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「偉そうなことを言ってるお前は何様のつもりだ」というツッコミが想定されるので最初に書いておく。私は何者でもありません。偉そうなこと言ってすみません。

1:海外FX対策をなんとかした方が良い

【先に結論】国内業界全体で海外FX問題への取り組みを強めることが消費者と業界双方の利益になる

1-1:現状の整理

Googleで”海外FX”と検索すると、検索結果上下の広告枠を無登録海外業者や広告代理業者の広告(個人含む)が埋め尽くしている。また、Google Trendsというサービスを使うと、海外FXに対する関心が増加傾向にあることが分かる。ここから、FXに興味を持つ人が海外業者(バイナリーオプション含む)に流れやすい状況が強まっていると言える。改めて言うまでもないが、国内FX業者は海外業者との競争関係に置かれている。

「海外FX」の知名度・認知度向上は閲覧者に安心感を与えており、それが海外業者への流入を増やし、海外業者の利益を伸ばし、更に広告が増えるという循環が働いていると推定出来る。海外業者に関しては別の記事で詳しく論じたが、彼らや広告代理業者は広告規制が殆ど無く、野放しに近い状況である。客1人当りの利幅が大きい分、広告費に割ける予算比率も大きくなるわけで、放置すればこの流れは止まらないだろう。

他方、各国内業者は世界で一番厳しい競争(スプレッド、サービスの質など)に晒されており、コンプライアンスにかけるコスト(手間暇・人件費)も負担している。各社が個別に海外FX問題に取り組むことは現実的に難しいので、金先協会を使って業界として何らかの手を打つべきではないか。

1-2:具体的に何をするか

ネット広告規制の働きかけを検討して欲しい。金融庁・消費者庁と連携し、Google、Yahoo、Twitterなど主要企業と交渉し、違法海外FX業者の広告を規制させる。全面禁止が難しければ、広告審査の厳格化や、「海外FX」というキーワードに対して警告文を掲載させるという方法もあり得る。(※1:Googleの広告ポリシー違反について下に追記しました。)

そもそも無登録業者が日本居住者を相手に営業することが違法であることに加え、実際に海外FX絡みの詐欺事件などが若者を中心に広がっていることを踏まえれば、十分に説得力のある議論を展開することが可能だろう。必要であれば広告代理店を巻き込んでも良い。

1-3:企業・顧客・社会の全てにメリットがある

この施策によって期待される効果としては、まず見込み客が海外に流れるのを防ぐことが出来るため、国内業者の顧客獲得増加につながる。次に、客が増えれば業者の収益が増えるため、スプレッド縮小など何らかの形で顧客サービス向上につながる。更に、海外FX絡みの被害を減らすことが出来れば社会貢献につながる。

各業者の広告予算がどれくらいなのか筆者には全く分からないが、3~10%程度でも良いので業界全体としての取り組みに振り分けてはどうだろうか。上記の広告規制と絡めて協会として積極的に広報活動すれば、結果的に各業者の広告費用対効果が改善される可能性が高いのではないか。内輪で争うより先に外の敵と戦った方が良いし、FX関連事件の被害者を少しでも減らし、業界への悪いイメージを少しでも払拭するためにも「海外FX業者と国内FX業者は違う」というメッセージをもっと強く社会に打ち出したほうが良い。

2:チャートツールをなんとかして欲しい

【先に結論】MTに取って代わる国産チャートツールを作って欲しい

2020年12月、ある大手業者がFlash終了に伴いブラウザ版チャートツールを刷新した。新チャートはβ版期間無しで本番リリースされたので余程自信があるのかと思ったら中身には色々と問題があった。横グリッド線が変な水準に表示された上に間隔が勝手に切り替わるとか、拡大表示すると現在のレートが見えなくなるとか、利便性を著しく損ねる欠陥が含まれている。開発チームは、どれだけ多くの利用者が長い時間真剣にチャートと向き合うのか理解出来ていなかったのではないかと疑ってしまう。

あるいは、その業者は本音ではMetaTrader(以下、MT)をチャートとして使ってくれと考えているのかも知れない。MT4が日本で流行りだしたのは2008年頃だったと記憶しているが、10年以上経過した現在でもMTをチャートツールとして使用している人が多い。筆者自身はMTに疎いのだが、人気の理由はカスタマイズ自由度の高さであることは間違いない。金先協会の資料を見てもMT4やその他自動売買システムが全体の取引高に占める比率は低く、自動売買とは無関係に裁量取引用のチャートとして使うユーザーが多いと推定される。

MT4は完璧なソフトというわけではなく色々な欠点があるが、それを補うだけの利点があると判断されているのだろう。しかし、2023年も、2025年も、2030年も日本のFXトレーダー達はMTを使い続けるのだろうか。世界最大のリテールFX市場である日本のFX業界は、世界に通用する国産チャートツールの開発を目指しても良いのではないか。開発期間も予算もそれなりに大きなプロジェクトになるかと思うが、投資する価値があると思う。FX業者ではなく、経験豊富なITベンダー主導でプロジェクトを進めても良い。(この記事を全部書き終えた後から気づいたが、ベンダー主導の方が話が早いかも知れない。「ベンダー」が分からない人はこのリンク先にある「ITベンダー」を見て欲しい。)

海外に目を向けてみても、欧米以外にインドや中国など多人口国家で個人投資家による取引が盛んになれば、いずれ為替取引の人気も高まってくるだろう。その時に現地業者にチャートツールとして貸し出す事ができるようなソフトを開発するぐらいの野心があっても良いと思う。当然、カスタマイズ自由度が高いというMTの特徴はカバーする必要がある。発注機能は備わって無くても良い。

「MTを超える世界的チャートツールの開発」というのはスケールが大きすぎると感じるかも知れない(が、やる気次第で本当に実現可能だし、長期的に十分な見返りがあると思う)。少なくとも多くのトレーダーにとってチャートが極めて大事なツールであることは理解して欲しいし、現状分かっている問題点は出来るだけ速やかに解決して欲しい。

3:口座凍結問題をなんとかして欲しい

【先に結論】基準が不透明過ぎるので、まずは情報発信を増やして欲しい

詳細は別の記事に書いた。業界の方には、この問題を今一度考えて頂きたい。トレーダーの中には人生を賭けて専業になる人もいるので、地味だが大きな問題だと思う。別の記事にも書いたが、大部分の事例は意図的に業者に損害を与えようとしているのではなく、知識の欠如・認識の齟齬によるものだと思う。プロ(業界側)からアマ(個人投資家)に情報を伝えて欲しいし、できれば業界としての指針のようなものを作って欲しい。

4:金先協会の運営には改善の余地がある

【先に結論】もうちょっと頑張ってほしい

レンタルサーバー代が赤字の零細ブログを運営している筆者がこんな偉そうなことを言うのは申し訳ないが、業界団体である金融先物取引業協会(金先協会、FFAJ)はもうちょっと頑張って欲しい。予算や人員に余裕が無いのかも知れないが、やる気と工夫で出来ることは色々ある気がするし、少なくとも情報発信に対する考え方を変えて欲しい。

例えば、2021年1月現在「金先協会」でGoogle検索すると、下図上段の検索結果が表示される。そこで一番上をクリックすると表示されるのが下図下段である。下段のページが表示された後、自動でページが遷移する(リダイレクト)仕組みはなく、URLもハイパーリンクが貼られていないので、ユーザーが手でURLをコピペしなければいけない。そもそもリダイレクトを設定すればこの告知ページ自体が不要なので、ウェブサイト管理会社は教えてあげたら良いのではないだろうか。ちなみに私は以前問い合わせ窓口から連絡したが、今の所ページは更新されていない。

これは一つの象徴的な事例なのだが、他にも全般的に非営利組織にありがちな形式的な情報発信が気になる。金先協会のウェブサイトには色々と面白い情報があり、取引の裏側の仕組みについて個人投資家が考えるヒントが色々転がっている。そのため、ウェブ上に情報を置いておくだけでなく、もう少し届ける工夫をしても良い気がする。協会の運営資金を直接負担しているのは業者だが、その元になっているのはFX投資家が落とす手数料(スプレッド等)なのだから、投資家まで情報を届けることも目標にして欲しい。

特に、この記事で書いたポイント1・3などは協会が積極的に取り組んで欲しい課題である。協会の定款第3条には「金融商品取引業の健全な発展に資することを目的とする」との記述があり、上記課題はこの目的に合致するはずだ。

以上、偉そうなこと言ってすみません。長文お読み頂きありがとうございます。

※1:Googleの検索結果などに表示される広告は、Google広告ポリシーの対象となる。金融サービスの項目を見ると「金融関連の商品やサービスを宣伝する際は、広告のターゲットに含める国や地域の法令をすべて遵守する必要があります(太字、引用者)」との記述がある。

コメント

  1. X より:

    >彼らや広告代理業者は広告規制が殆ど無く、野放しに近い状況である。
    >Google、Yahoo、Twitterなど主要企業と交渉し、違法海外FX業者の広告を規制させる。
    日本法人は別としても、海外業者は本拠地の法律が原則適用され、日本の法律を適用することや外国機関への警察権行使は主権侵害である。状況次第ではGoogle、Yahoo、Twitterの活動拠点が米国であるので主権侵害として米国政府との外交問題になりうる。あたかも海外業者は悪徳という印象操作を与える行為は名誉棄損、風説の流布、営業妨害に問われる可能性があることを警告する。

    >そもそも無登録業者が日本居住者を相手に営業することが違法であることに加え、
    違法とする法律を掲示せよ。無登録業者が海外業者は本拠地の法律が原則適用され、日本の法律を適用することや外国機関への警察権行使は主権侵害である。これはオンラインカジノでも言えることであり、無登録業者が海外業者は本拠地の法律が原則適用され、日本の法律を適用することや外国機関への警察権行使は主権侵害である。実際、海外オンラインカジノの利用で起訴された邦人が無罪となった事例もある。

    >実際に海外FX絡みの詐欺事件などが若者を中心に広がっていることを踏まえれば、
    >十分に説得力のある議論を展開することが可能だろう。必要であれば広告代理店を巻き込んでも良い。
    あたかも海外業者は悪徳という印象操作を与える行為は名誉棄損、風説の流布、営業妨害に問われる可能性があることを警告する。日本の業者でも摘発された例があり、日本の業者だから安心ではなく、同時に海外業者だから悪徳というのはレッテル貼りでしかない。事前調査してから意見を述べよ。

    >MTに取って代わる国産チャートツールを作って欲しい
    国内業者の優遇を含めた政策は保護主義であり、日本政府は歴代自民党政権を含め、保護主義に反対している。保護主義政策が政府方針であれば世界貿易機関の国際協定にも違反する。自由で開かれた国際市場は業界の競争力を活性化して腐敗を抑制する。

    >口座凍結問題をなんとかして欲しい
    原因がすべて業者側にあるとはいえない。過度な負担を与える等の規約違反があれば、利用者側の倫理違反が問われるのは当然である。

  2. 管理人 より:

    X様
    コメントありがとうございます。当ブログ初のコメントで大変嬉しく思います。要点を絞って返信させていただきます。

    >日本法人は別としても、海外業者は本拠地の法律が原則適用され、日本の法律を適用することや外国機関への警察権行使は主権侵害である。

    海外業者の本拠地における活動を規制するという話ではなく、日本の法律が適用される日本国内での広告を規制すべきと主張しています。

    >違法とする法律を掲示せよ。

    金融商品取引法です。詳しく知りたければ「日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です」との記述がある金融庁のウェブページをご確認下さい。 https://www.fsa.go.jp/ordinary/kanyu/20090731.html

    >日本の業者でも摘発された例があり、日本の業者だから安心ではなく、同時に海外業者だから悪徳というのはレッテル貼りでしかない。

    「日本の業者であれば安心」とは一言も言っていません。ただ、日本居住者を相手に営業する無登録海外業者は明らかな法令違反なので、その問題を指摘しているだけです。

    >国内業者の優遇を含めた政策は保護主義であり、日本政府は歴代自民党政権を含め、保護主義に反対している。

    海外資本が日本でFX事業を展開することを否定する気は一切ありません。そのためには必要なルールを守るべきです。金融業者であれば必要な登録を済ませることが第一歩です。

    >原因がすべて業者側にあるとはいえない。

    そんなことは言っていません。リンク先の別記事に詳しく書いたので、お時間のある時に目を通してみて下さい。

  3. y より:

    「実際、海外オンラインカジノの利用で起訴された邦人が無罪」
    →調べたら無罪じゃなくて不起訴でした…

    あと、金融業に限りませんが日本で営業してる海外法人が治外法権とか租界みたいな扱いされるとか本当に思ってたらやばいと思いますけど…

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